「震災後の経済」と「東電の今後」 | Reuters
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「震災後の経済」と「東電の今後」

  • こんにちは。弊社日本語サイト初のオンラインディスカッションにようこそ。本日はロイターコラムニストの田巻一彦と、同特別編集委員の布施太郎を迎え、東日本大震災で地震と津波、原発事故という未曾有の3重災害に見舞われた日本経済のこれからの道筋と、東京電力の今後について語ってまいります。読者の皆様はライブでの参加が可能です。投稿をお待ちしております。一部の皆様から事前にいただいた質問やコメント、そしてロイターの関連ニュースなどもご紹介しつつ進行したいと思います。よろしくお願い致します。
  • 3月11日にM9.0の巨大地震が発生し、想定を超える大津波が壊滅的な被害をもたらした東日本大震災から1カ月以上たった今でも、依然として多くの被災者の方々が避難生活を強いられています。この大災害で命を落とされた方々に哀悼の意を捧げますと共に、被災された方々が一日も早く安全で安心できる生活を取り戻すことが出来ますよう心から願っております。また一方で、原子力事故の国際的評価尺度でチェルノブイリと並ぶ最悪の「レベル7」となった東京電力福島第1原発の事故処理についても依然緊迫した状況が続いています。
  • 数字と写真ででみる東日本大震災の被害状況は以下の通りです。
    ●警視庁によると20日時点で死者・行方不明者数は2万7700人を超え、避難所生活を送っている人はおよそ13万3500人に上っている。
    ●東北電力によると20日16時時点で約14万5700世帯で停電している。
    ●厚生労働省によると20日11時時点で5県で少なくとも9万世帯で断水している。
    ●警察庁の20日の発表によると、建物6万5369戸が地震や津波により全壊した。
    ●外務省によると、142カ国・地域、39の国際機関から支援の申し出があった。
    ●政府は東日本大震災による損害を16―25兆円と試算しているが、25兆円に上れば世界で最も被害が大きい災害となる。
  • スライドショー:大震災発生から1カ月 jp.reuters.com

  • 「レベル7」の現場 jp.reuters.com 

  • では本日の参加者をご紹介します。田巻コラムニストは日本政府の震災復興への対応や経済政策など幅広い問題について、ロイターブログ「討論×闘論」に定期的に寄稿しており、独自の観点からこの問題を分析いたします。 blogs.jp.reuters.com
  • こんにちは。コラムニストの田巻です。よろしくお願いいたします。
  • 布施特別編集委員は、先月「福島原発危機はなぜ起きたか」というテーマで特別リポートを発表し、読者の皆様から高い評価をいただきました。原発危機が長期化、深刻化するなかで莫大な補償を迫られることが確実視される東京電力の今後について、取材から得た情報を交えながら、皆さんとこの問題について考えてまいります。 
    jp.reuters.com
  • 参加者のみなさん、こんにちは。布施です。今日はよろしくお願いします。
  • 最初のテーマとして、震災の経済的影響について話したいと思います。国際通貨基金(IMF)は11日に発表した世界経済見通しの中で、2011年の日本の経済成長率予想を1月時点の1.6%から1.4%に引き下げました。「震災による被害状況が明らかになり、復興への取り組みが進めば、当局は復興に向けた追加支出問題に対処する必要がある一方、中期的な公的債務比率の引き下げに向けた一段と信頼ある財政戦略が必要になる」と指摘しています。   jp.reuters.com 
  • ワシントンで先週開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、日本が世界経済の新たな下方リスクとなっているとの認識を示しつつ、震災復興に向けて全面的な支援を約束しています。田巻さんは、今回の震災の経済的影響をどう分析されていますか。 jp.reuters.com 
  • IMFの見通しでは、サプライチェーンや電力不足、原発事故の3点に関し、深刻化することは想定せずに試算されています。ルネサスのマイコン生産が7月になっても本格化しないようなら、鉱工業生産の10%を占める自動車生産が回復せず、政府・日銀が描いている景気回復シナリオの実現性が危ぶまれる可能性が出てきます。また、海外の自動車メーカーの中にも、同社のマイコンを使用しているところがあるとみられ、部品供給の停止が長期間になると、グローバルに自動車メーカーの一部でラインが停止するというこれまでにない問題が発生する可能性があります。
  • 電力不足に関しては、一部の報道で実は不足していないとの見通しも出ており、実態が不透明なのですが、夏場に800万─1000万キロワットの不足がある前提で、大企業の25%節電が実施されれば、鉱工業生産は7月からの急回復が期待できず、日本経済の大きな重しになってしまいます。ただ、21日付日経朝刊では、揚水発電で1000万キロワットの追加が可能で、5500万キロワットまで発電できる可能性があるようです。もし、そうであれば、大企業の大幅な節電は回避され、鉱工業生産は7月ごろから急回復するシナリオの現実性が高まります。
  • さらに原発問題の行方も、経済に深刻な打撃を与えかねません。特に低濃度とはいえ汚染水をさらに海洋に放出した場合、貨物船のバラストの水質が問題になり、日本から出港した船の入港拒否や日本への入港拒否という問題をもたらすリスクがあります。貿易立国である日本にとって、貨物船が自由に航行できなくなるリスクは死活問題です。これ以上の汚染水放出は、何としても回避しなければならないと思います。
  • 消費税は
  • あげないとけないのでしょうか?
  • 14日発表したロイター企業調査でも、サプライチェーンの寸断や電力供給制約、消費自粛、原発の漏れ事故とそれによる風評被害など、震災に伴うさまざまな要因が企業マインドを慎重化させている実態が浮き彫りになっています。58%の企業が生産設備やサービス体制に打撃を受けたと回答。需要の落ち込みも深刻で、震災前の水準に回復した企業はわずか2%にとどまっています。布施さん、実際に取材をされて、企業の現状はいかがですか。  jp.reuters.com 
  • ロイター企業調査 jp.reuters.com

  • 今、自動車の下請け企業を取材してます。被災企業は生産復旧の努力を続けており、何とか復活して供給義務を果たそうと必死です。いくつかの企業は代替生産先を見つけるなどして生産の再開にこぎ着けているところもあります。
  • しかし、約2-3万点で構成されている自動車は、1点でも欠けると生産ができないと言われています。一部の部品メーカーは自分の工場で生産再開できても、他の部品の供給が止まり、完成車メーカーの生産ラインもストップしているため、部品を納入しなくていいと言われているようです。トヨタなどは当面50%の稼働率で生産を開始しましたが、「この稼働率では7月にも運転資金が底を付く」と心配する下請けメーカーもあります。
  • さらに分からないのは、自動車メーカーの生産再開は、すべての部品の供給のめどが付いたためなのかどうかということです。関係者によると、現在の稼働はあくまで在庫部品の範囲での再開だとの話もあり、可能性の問題としては7月以降にもう一度ラインが止まってしまうのではないかという懸念もあります。
  • 今のコメントは、非常に重要だと思います。
  • 多くの市場関係者は、生産が立ち上がるとそのまま、拡大すると思っています。しかし、その先に大きな落とし穴があるとわかれば、市場の反応も違ってくると思います。
  • ありがとうございます。次に、復興費用とその財源も日本経済が直面する難題の一つです。
  • 東日本大震災の復興費用は3兆円以上の補正予算を必要とした1995年の阪神・淡路大震災を超える見込みです。桜井充財務副大臣は先月31日、復旧・復興に伴う累次の補正 予算の規模について、10兆円を超える可能性を示唆。財源では、国債市場との関係も考慮する必要があるとし、出来るなら広く国民負担をお願いしたいと述べ増税にも含みを残しています。 jp.reuters.com 
  • それは消費税ですか?それとも
  • 所得税や法人税がいいのでしょうか?
  • 政府は約4兆円規模の第一次補正予算を今月末までに国会へ提出したい考えです。五十嵐文彦財務副大臣は18日午前の記者会見で、2011年度の第2次補正予算の財源を消費税で充当する案が出ていることに対し、「国民に薄く広く負担を お願いする」としたうえで、個人的な考えとして「所得や収入の多い個人・法人には、一定のより大きな負担をお願いせざるを得ないと感じている」と語っています。 jp.reuters.com 
  • 教えてください、田巻
  • コラムニスト
  • 通りすがりさん、ご質問ありがとうございます。ウェブサイト上やニュースメールでご質問やご意見を募集したところ、ほかにも多数のメールを頂戴しました。ありがとうございました。その中からいくつかご紹介して、田巻さんと布施さんに伺っていきたいと思います。
  • 復興財源に関しては、皆様から多数のメールをいただきました。政府や与党で震災復興税が議論されていますが、「震災復興税は必要なのでしょうか」(ブヒさん)というご質問。財源案として「震災復興宝くじを売り出すのはどうでしょうか」(上村さん)というご意見もいただきました。また、「全国的に緊急性のない公共工事はこの際ストップして震災の復興に国中が取り組むべき」(teraokaさん)といった声も寄せられました。
  • 被災者のこと、経済の安定確保を思えば、執行を急ぐべきです。財源論で時間を浪費することが問題です。本予算の歳出を一律に1割削減して、復興財源とし、その削減した分を復活させるかを補正で議論することで、時間を節約できると思います。
  • これらの質問について田巻さんはいかがお考えですか。
  • 増税案については、のちほど、お答えします。まず、復興計画については、津波で被災した沿岸部を中心に東北地方(プラス茨城県)が災害に強く、さらに新しい可能性を求める地域として「再生」するグランドデザイン(全体構想)が必要であり、それは可能であると考えます。沈滞した日本を再生するための先導役として位置づけ、東北のルネッサンスを弾みにするスタンスが不可欠であると考えます。
  • ドイツの連帯税のように、被災地以外で納付される所得税に一定割合の付加税を上乗せする方法は納税者の理解を得やすいと思います。検討すべきでしょう。
  • 具体的には、まず、津波の来たエリアに住宅を作らせない方針を示し、国が土地を買い取って、公園や太陽電池による発電基地にするなどの基本計画をまとめることができるかどうかが大きなポイントです。自然と一体となった産業や観光の振興、山の上に作るエコタウンなどが現実にできれば、世界に誇れるでしょう。そのためには、10兆円規模の国費がかかるでしょう。
  • 今年度に投入されると予想される10兆円の国費だけでなく、さらに上積みが必要になると思います。したがって増税は避けられないのですが、その前に無駄な歳出のカット、特別会計への繰り入れの見直し、国会議員の歳出と定員カットなど、やるべことが山積していると思います。特に国会議員が自分たちの既得権を守ろうとする姿勢を示せば、国民の幅広い支持が得られなくなると思います。20日に今年の1回目の政党助成金が交付されましたが、受け取りを拒否している共産党を除く各党は、支給予定額を全額受領しました。国庫に返納するなどの声が出なかったのは驚きです。これで国民の理解が得られるとは到底、思えません。今後、政治家が覚悟を示すことができるのかどうか、試されることになると思います。
  • 政府がそれを実行に移せるかどうかが鍵になりますね。
    そこに不安を感じます。
  • 増税の具体的な手法としては、消費税の引き上げや所得税率の引き上げなどの選択肢が与党内から上がっていますが、景気回復の腰が弱い段階での増税は、かえって税収減になるとの見方もあり、現状でまとまった増税案は存在していません。マーケットも全体の財政出動規模や増税案が固まっていないことを反映し、具体的な織り込みは進んでいないと思われます。消費税率を暫定的に上げる案が今後、有力になるのではないかと考えています。
  • 田巻さん、ありがとうございます。日本経済の道筋と共に注目されるのが、被災によりチェルノブイリ級の原発事故を引き起こした東京電力の今後です。
  • 同社は17日、福島第1原発事故の収束に向けた工程表を発表しました。「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている」状態を6カ月から9カ月後をめどに実現したい考えです。布施さん、この行程表の実効性についてどう考えますか。
     jp.reuters.com 
  • 技術系の話は私は素人なのですが、政府関係者の話では「最大9か月後というのはあくまで目算」ということです。
  • 政府関係者は、東電内部でも確証を持って出してきた数字ではないと話しています。限りなく努力目標に近い目標と捉えた方がいいのかもしれません。何しろ、誰も経験したことのない事態に突入しているのが今の状態ですから。
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